Summary
本講座では金融時系列データの分析を念頭に、状態空間モデルについて講義します。
時系列データの分析においては,モデルの構造を定めるパラメータも時間の経過とともに変化すると想定されることがあります.
例として,線形モデルの回帰係数は二変数間の関係を表すものと解釈されますが,時間に関して一定の値を取る回帰係数を用いると二変数間の関係も一切変化しないということになり,場合によってはデータへのあてはまりが極めて悪くなります.
一方,パラメータを時間の経過とともに変化させると,サンプルサイズと同じ数だけパラメータが存在することになり,データのみで推定を行うことは難しくなります.
そこで,パラメータの変化の傾向について制約・仮定を設けて推定することになりますが,そのような事変パラメータ(状態変数)をもつモデルとして代表的なものが状態空間モデルです.
本セミナーでは金融時系列データの分析を念頭に,状態空間モデルについて講義します.
まず,線形かつガウスである(正規分布に基づく)状態空間モデルとして知られる動的線形モデルを取り上げます.動的線形モデルは数学的に簡易なモデルであり,必要な事後分布を解析的に計算できるのが特徴です.
基本的なモデルと分析例を通じて,逐次的分析(モニタリング・予測)と回顧的分析の区別など,時系列分析特有の推測の概念について解説します.また,実際に推定を行うための計算手法であるフィルタリング・スムージングを解説します.
以上の準備のもとで,動的線形モデルを用いた分析例を,Rコードを用いた実習形式で紹介します.
次に,非線形な状態空間モデルの例として,金融時系列におけるリターンのモデルであるボラティリティモデルを取りあげます.
リターンの時系列データはボラティリティ・クラスタリングと呼ばれる性質を持ち,分散が高い(または低い)状態が継続する傾向にあるため,分散パラメータが時変となる非線形の状態空間モデルが用いられます.
一般に,非線形(または非ガウス)の状態空間モデルの推定は困難であり,モデル毎に独自の工夫が必要になることが多いのですが,ボラティリティモデルに対しては線形かつガウスの場合の結果が近似的に適用できることが知られています.
そのことを解説し,実際のリターンのデータへの適用例をRコード実習を通じて紹介します.
(1) 動的線形モデル
・時変パラメータの必要性
・逐次的・回顧的分析と,オンライン・回顧的事後分布
・予測分布と “synthetic future”
・動的線形モデルの具体例(時変ARモデルなど)
・事後分布の計算:フィルタリングとスムージング(FFBS)
・R実習
・MCMC法とFFBSの組み合わせ
(2) ボラティリティモデル
・リターンデータと簡易なボラティリティモデル
・確率的変動ボラティリティモデル
・混合サンプラーによる事後分布の計算
・R実習
・モデルの拡張
(3) 補足
・参考文献の紹介
・関連する話題
【対象者】
本セミナーでは、以下に当てはまる方を対象としております。
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金融業界のアナリスト: 金融市場の分析やリスク管理に従事している時系列解析に慣れている方で、より高度な分析手法を統計学の専門家から学びた方
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その他産業分野のデータサイエンティスト: 金融以外の分野で活動しているが、高度な時系列分析技術の理解を深め、自分の専門分野に応用することを目指す方
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大学院生および研究者: 統計学、金融工学、経済学など関連する学問分野の研究に従事しており、最新の時系列分析モデルを学びたい方
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エンジニア等技術者: 金融関連のソフトウェア開発やイノベーションに関わっており、これらのモデルの技術的側面や実装に興味がある方
\受講プログラム/
約60分間の講義動画を前編と後編に分けた2本立てとなっており、
合計で120分のセミナーとなっております。
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